ビジネスモデルキャンバスとは?ビジネスを構成する9つの要素を例を挙げて解説

ビジネスモデルキャンバスとは?

ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを9つのブロックに分けて理解・可視化をしましょう、というフレームワークです。

ビジネスモデルの優位性や弱点を洗い出して理解・共有することで、より効果的な施策を打ち出すことを目的とします。

ここでは9つの要素を説明するとともに、各要素をどのように見ると良いかを解説してみます。

価値を提供する3つの要素

価値を提供する3つの要素

①顧客セグメント(CS:Customer Segments)

サービスの提供相手は誰なのか、という観点の要素になります。

解説

誰向けのサービスなのか、誰のために役に立つのかを考えることで、サービスの提供価値を定義・再定義する役割を果たします。

これはセールスにおいて、最も重要な考えです。

実務では、理由は分からなくても業務を行っていれば少しは売れるものです。売る側に理由は分からなくても、買う側は理由がありますので、「誰」という部分さえ間違わなければ売れるのです。

この「誰」という部分をまずは整理するのが、この要素になります。

例えば、子供向け商品のターゲット

典型的な例は子供向け商材です。

おもちゃやアニメ、教育商材など、子供向けの商材はありますが、ヒット商品において実は母親をメインターゲットとしている場合が多々あります。

理由はお財布を握っているのが母親だからです。

子供向けではありますが、決裁者が母親なので母親にウケることが販売への近道となります。

このように「誰に」という部分を意識していることは、ビジネスの要素として重要になります。

②顧客との関係(CR:Customer Relationships)

顧客とどのような関係にあるのかを、期間と接点の深さで考える要素になります。

解説

期間で言えば、単発売り切りなのか、会員になってリピーターになってもらうことを想定しているのか。

接点の深さで言えば、直接対面で面談するのか、メールやサイト上でやり取りするのか、セルフサービスなのか、などが挙げられます。

中小企業で良くあるのが、代表個人の豊富な人脈に基づいた顧客開拓経路が挙げられます。昔からの付き合いだからやっている、ということが会社の経営基盤となっているケースは典型例となります。

例えば、顧客との関係で差別化を図る

あるエンタメ会社を例に挙げると、競合他社と比べて、自社が優位になる点は取引時の安心感がある点というものが挙げられました。

金銭面以外の部分で、苦しい時でも助けてくれそう、という一定の安心感が支持へと繋がっていました。

そこで同社では、顧客との関係性を深めたり、顧客育成を含んだサービスを展開することで差別化を図る対応を行っています。

このように、顧客との関係性そのものが差別化や特徴を表す要因となり得ますので押さえておきましょう。

③チャネル(CH:Channels)

顧客にどうやって価値を提供しているか、という観点での要素になります。

解説

ここでは販売経路だけではなく、認知の経路やアフターサービスの経路なども含みます。

経路を見直すことで売上が伸びる、などの効果があることを想定すると理解しやすいでしょう。

例えば、Amazon

チャネルで最も分かりやすいのはAmazonでしょう。

通信販売という販売経路を開拓したことが最も分かりやすい事例ですが、echoやFireHDやなど発注やデリバリーに関するチャネルポイントを設けていく点も顧客囲い込みの観点で強いポイントになると考えられます。

提供価値そのものの要素

提供価値そのものの要素

④価値提案(VP:Value Propositions)

サービスの価値は何なのか、という観点の要素になります。

解説

単純な商品やサービスを上げることでも良いですが、ここでは物理的定義と機能的定義という考え方をご紹介します。

例えば、映画会社

物理的定義

物理的定義とは「何屋さんか」について、モノを中心に発想します。
映画会社が、自社のサービスを「映画を製作して提供する」と考えることなどがあてはまります。

メリットとして、やるべきことがはっきりしているので実行力が高い点が挙げられます。

一方デメリットとしては、発展性に乏しく現在の事業領域を出にくいことが挙げられます。

機能的定義

機能的定義とは「顧客の課題解決」や「理想の姿」を中心に発想します。

映画会社が、自社のサービスを「エンターテイメントを提供して、顧客の人生を豊かにする」と考えることなどがあてはまります。

メリットとして事業の将来の発展性が高いことが挙げられますが、抽象的過ぎて顧客や事業の領域が不確かになりやすいデメリットがあります。

近年では、ビジネス環境の変化が激しく、時代に応じて対応が必要となっていることから、後者の「機能的定義」で会社を捉えようとする考え方が多くなっているようです。

価値を実現する3つの要素

提供価値を実現する3つの要素

⑤主要活動(KA:Key Activities)

ビジネスモデルを実現するために必要な活動のことです。

解説

これには2種類あって、「提供価値を生み出す活動」と「リソースを強化する活動」です。

例えば、牛丼チェーン店

例えば、牛丼チェーン店を想定したとします。
「提供価値:安くて早くて美味い食事の提供」が中心になっているとすると、主要活動は「牛丼の提供」で、これが「提供価値を生み出す活動」です。

「リソースを強化する活動」としては「業務マニュアルのブラッシュアップ」などが挙げられます。これによって「提供価値:安くて早くて美味い食事の提供」という価値を満たすことが出来るという考え方です。

ここでの主要活動とは、自社の特色ある提供価値を実現するために必要な活動なのです。

⑥リソース(KR:Key Resources)

基本的にはヒト・モノ・カネ・情報の4つの要素が当てはまります。
特にそのビジネスモデルの強み・弱みを示す内容を記載ことが求められます。

解説

よく中小企業であるのが、「うちは特徴って言われても特には無いからねぇ」というものです。自社のことは分かっても、他社との比較が分からず、自分の会社の特徴が分かりにくいのです。

そこでリソースの特徴を捉える手法として、商流から考えることが有効とされています。

「お客さんはなぜ商品を買ってくれるのか」「仕入先はなぜうちと取引してくれるのか」という観点で考えることで、強みや弱みが見えてくることが多くあります。

例えば、ネジを作る会社

私が経験した例で言えば、ネジを作る会社が挙げられます。

社長さんに話を聞くと、まさに上記のように「特徴は無い」ということをおっしゃります。ネジに秘密があるのかと思い、どのような用途で使われるのかと聞くと、それも実は全く把握していないようです。また、比較的一般的で、その会社ならではというものでも無いそうです。

そこで他の取引先や周囲に評判などを確認すると「社長の人柄」と「要求に対して、正確かつ即座に対応してくれること」に対して評価が高いことが分かりました。要求をきちんと理解して素早く対応してくれる会社は中々貴重であり、得難いという評判でした。

リソースの「ヒト」に大きな強みがあると判った例となります。

⑦パートナー(KP:Key Partners)

提供価値を創造していくための、外部協力者全般について考える要素です。

パートナーというと業務提携を想定する人が多いと思いますが、通常の仕入先や下請会社、親会社、フランチャイズなども含めて考えましょう。

解説

特に仕入先の数と関係性は重要になります。

仕入先が限られていると、力関係として自社が弱くなりがちなので、価格や決済条件などの面で特に不利になりがちです。

事業上キーとなる取引先、金額面で割合の大きい取引先、取引先総数などに注意を払うと良いでしょう。

例えば、SNSのパートナー

FacebookやTwitterに代表されるSNSサービスのパートナーは、利用しているユーザーになります。

SNSのサービスは広告収入がメインですので、顧客は広告主の企業です。

なぜ広告を出稿するかと言えば、楽しい場所が提供されてそこに人が集まっているからです。

したがって、価値を作り出しているパートナーは、SNSを利用しているユーザー、特にプロフィールを詳細に記載しているアクティブユーザーの数が非常に重要な指標となります。

資金の流れに関する2つの要素

資金の流れに関する2つの要素

⑧収益の流れ(RS:Revenue Streams)

マネタイズに関する部分を考える要素になります。

解説

売上をそのまま記載することもあれば、商品別の単価を整理することもあります。

また、売上の金額以外にも決済条件が強みになることもあります。

例えば、Dellの資金繰り

資金繰りで有名なのは米国のDellです。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)と呼ばれる指標があります。

支払と回収の日数差を示すものですが、デルはこのCCCがマイナスになる点で有名です。業務を行うにあたって先に料金の回収があって、支払を行っているというサイクルです。

つまり、事業にあたっては手元資金が多くなり、資金を違うことに資金を投下できるという強みが生まれます。

金額だけではなく、決済条件や決済通貨などマネタイズに関する特徴をまとめるようにしましょう。

⑨コスト構造(CS:Cost Structure)

何にいくら資金を使っているか、を考える要素になります。

解説

つまるところ、経営の評価という話になります。資金をどこに投下しているかを洗い出し、先の要素のどの部分に効果を表すのかを示すものです。

また、コストと収益のバランスを見ることも重要なポイントになります。

例えば、アニメ番組のCM

通常CMは広告という位置づけで考えられますが、観点を変えると番組のスポンサーという考え方になります。

最も典型的なものはアニメ番組で、番組そのものが宣伝であり、CMはおまけというパターンも珍しくありません。

ではなぜスポンサーとして出資するかと言えば、作品のグッズなどの権利を確保するため、という観点があります。

番組で宣伝し、関連するグッズで収益を確保するのです。その番組の版権はスポンサーが得ることになります。

まとめ

ビジネスモデルキャンバスの9つの要素について説明をしました。

ビジネスモデルキャンバスはパズルのようなもので、各要素の理解だけでなく、要素間の関係性や一連の流れをつかむ必要があります。

今回の説明では要素の各々について例を挙げながら説明しており、一連の流れとして掴めるものではないかもしれません。

覚えることが多く、最初は中々頭に入ってきませんが、次の記事では大まかな流れと、3つのコツをお伝えしますので併せてご参考ください。

ビジネスモデルキャンバスの3つのコツ | ウェブ解析ナレッジ

ビジネスモデルキャンバスは使いこなすのが難しいフレームワークです。ビジネスのコアとなる特徴を素早く把握し、一連の流れを理解するためのフレームワークを組み合わせることで効果的に利用できるので、ご紹介します。