目次
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、問題を要素に分解して上下の階層の形で整理をするフレームワークです。
この整理した形状がツリー状に広がっていくことから、「論理の木」=ロジックツリーと呼ばれています。
問題の原因を追究する時や、問題の解決を図る時に主に利用されます。
例えば、ビジネスにおいて業績が振るわない原因を考える時や、業績目標を達成する方法を考える時などです。
施策立案を行う担当者だけでなく、上長も含めて正しく身につけることで、効果的に施策運用を行えるようになりますのでぜひ身につけてください。
WhyツリーとHowツリー
ツリーの要素間の関係などから、いくつか種類がありますが、よく出てくるのはWhyツリーとHowツリーです。
この2つを押さえていればビジネス上ではほぼ事足りますので、ご紹介します。
Whyツリー
原因追求型のツリーと言われます。
要素間の関係が足し算や掛け算の関係になっているのが特徴です。

例えば、売上1億円を元に分解して商品単価×販売数、販売数をさらに分解して来客数×販売率のようなものが掛け算の関係になっています。
一方で販売数を東京+大阪+名古屋のように拠点別に分解していくものが、足し算の関係になっているものです。
これは要素を分解した結果、どの要素が弱いのかが分かるので、原因追求型のWhyツリーと呼ばれます。
Howツリー
問題解決型のツリーです。
施策立案の時などに用いられ、要素間の関係は基本的に「状態」を示します。

例えば、売上1億円を元に分解して、商品価値・価格・利便性・コミュニケーションの4つの要素に分解するなどです。これはこの4つの要素が十分に満たされている「状態」ならば、売上1億円が達成できる、という関係になります。
さらに、例えば商品価値について「新商品の販売」、「別企業とのコラボ」、「利益率の向上」などの施策の形に分解し、それぞれ施策の達成目標の数字を併記します。
これは施策であると同時に、3つの施策の目標数字が達成できているならば「商品価値」が十分満たされるという、商品価値の「状態」を示すパラメータとなります。
このように状態を示すツリーでは、業績目標と施策を結びつけることで、目標と施策の関係性を示し、問題解決の道筋(=How to solve)を示すことになります。
注意点や使い方
要素はMECEで考える
分解した要素はMECEを満たす必要があります。
MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字を取ったもので、「相互に排他的」で「完全な集合体」という意味です。要するに日本語で「漏れなく重複なく」ということです。

ピラミッドストラクチャーとは違う
また、よく言われる「ピラミッドストラクチャー」と違いについても押さえておきましょう。
ピラミッドストラクチャーとは、「主張」と「根拠」をツリー状に整理するフレームワークです。使う場面としては、プレゼンテーションなど相手を説得する時に利用されます。
要素をツリー状に整理する点はロジックツリーと似ていますが、明確に違う点はピラミッドストラクチャーは常に「主張と根拠」という要素間の関係性になり、説明・説得することがメインの考えになる点が挙げられます。

ロジックツリーはあくまで「要素の分解」になり、使う場面も原因を考えたり、解決策を考えたり、思考することがメインになるため、その部分に違いがあることになります。
問題解決のためにはHowツリーを使おう!
ウェブ解析の文脈では、基本的にロジックツリーは問題解決型のHowツリーを用います。
業務目標が与えられ、現状分析で課題点を明確化し、施策立案で課題点解決を目指すという一連の流れを、KGI・KSF・KPIという形でロジックツリーにするものです。
以下詳細を説明していきます。
KGI(ケージーアイ)
Key Goal Indicator。最終的に達成すべき目標のこと。
例えば、年度の売上目標20億円など、主に経営から与えられる目標が典型例となります。
「ゴール」なので「KGI」(Gが入る)と覚えましょう。
KSF(ケーエスエフ)
Key Success Factor。成功要因のこと。
KGIを達成するために必要な課題点、と理解しましょう。Howツリーを用いた施策立案においては最も重要な要素となります。
「Success Factor」(成功要因)なので、「KSF」(SFが入る)と覚えましょう。
KSFは状態を表す
ここでのKSFは「満たしているならばKGIは達成できる」状態を指します。
例えばKGIが売上高20億円で、KSFが「商品力の向上」「販売資料の充実」とすると、「商品力が向上し、かつ販売資料が充実するならば、売上高20億円が達成できる」という状態ということです。
例のイメージとしては、商品力が向上で競争力がつき顧客獲得が進み、きちんと訴求できる資料があれば営業が機能するようになり、売上も伸びる状態という感じです。
KSFはMECEになっている
KSFは特にMECE(漏れなく重複なく)を意識してください。
上記の例で言えば、「商品力向上」「競争力がつく」「顧客獲得が進む」は実質同じことを言っており、「商品力向上」によりこれらは同時並行的に進むので同じ要素ということです。
もちろん、場合や考え方によっては、「商品力向上」と「顧客獲得」は別要素とすることもあり得ます。ここでは”同じ要素に分類した”ということです。
Webの施策においては、現状分析から導く
基本的にKSFは、現状分析を行い、発見された「課題点」が形を変えたものです。
上記で「場合や考え方によって」要素の分類が違う、と述べていますが、その違いは現状分析の結果いかんということになります。
上記例では「商品力が無く競合他社に負けてしまう」「営業のモチベーションが上がらず中々動いてくれない、営業が動いた場合成約率は高い」などの課題があったと考えてください。その課題を解決すれば「売上高20億円は達成できるだろう」と計算されたので、上記のロジックツリーが導かれた、という想定になります。
つまり、現状分析を基に課題点を明らかにして、それらを整理することでKSFが導かれているということです。
KPI(ケーピーアイ)
Key Performance Indicator。目標達成の度合いを測る計測指標のことです。
重要業績評価指標などと日本語訳されますがKGIと混同させがちになるので、KPIはあくまで施策の計測指標と考えてください。
KPIは定量的に計測できる必要がある
KPIはIndicator、指標です。つまり数字で計測ができるものである必要があります。
例えば、PVやUU、顧客数、会員数、配信数など、数字で表現できるものです。かつ、計測可能である必要もあります。計測できなければ指標となりえないからです。
KPIは施策とセットで考える
今回ご紹介している施策立案時のロジックツリーでは、施策とセットでKPIを設けてください。
KSFを満たすために施策を立案し、その施策を計測する基準をKPIとして設定します。施策とKPIはセットで記入されることになります。

KPIはKSFの進捗状況を表す指標となる
上記のやり方で行う場合、KPIは各施策の達成状況を示す指標ですが、同時にKSFの進捗状況を示す指標となりえます。
例えば、施策Aとしてウェブサイト構築、KPIとしてPV 100万を設定したとします。これが達成できた場合、KSF①は施策Aと施策Bの2つの内、1つを達成できたので、KSF①の進捗率は50%と判断します。
まとめ
ロジックツリーについてご紹介しました。
ポイントは、Howツリーを使うこと、MECEを意識すること、現状分析からKSFを導く、施策とKPIをセットにするなどです。
実務上では、「漏れが無いようにする」とか「重複が無いようにする」などは難しく、実際には「MECE”感”」という言葉で表現するように、MECEっぽければOKという考えで進めることになります。
しかし、それを差し引いてもロジックツリーは体系的に施策と目標の関係を示しており、これらがしっかりすることで施策立案と計測、PDCAを回す基礎が出来ます。
ロジックツリーは施策担当者だけが理解していても、施策が上手くいかないものになりますので、ぜひ施策担当者だけでなく、上長を含めて正しい考え方を身につけるようにしてください。
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